これは、ベストバイです。何冊もの本が凝縮されているかのような満足度です。
ここまで経験のみで語るのではなく、データに基づいて書かれた勉強法の本はないかと思います。
根性論で読者を呆れさせるような本では決してありません。
もっと早く出会いたかったと思わせてくれるそんな一冊でした。
この記事のまとめ
- 『超効率勉強法』は万人向け
- ”想起”と”再言語化”が最も有用
- それらの方法論が具体的に紹介されている本
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『超効率勉強法』内容の要約
さっそく『超効率勉強法』の内容について、
自分の経験と織り交ぜて紹介できる範囲で解説していきます。
やるべきでない勉強法
本書では以下がやるべきでない勉強法例として列挙されています。
- ハイライトやアンダーライン
- 語呂合わせ
- テキストの要約
- テキストの再読
- 集中学習
- 自分の学習スタイルに合わせる
- 忘れる前に復習する
ドキッとしますよね。実際にやられている方も多いのでは?
それぞれにエビデンス付きで好ましくない理由が明確に解説されています。
例えば、語呂合わせが望ましくないのは明らかですよね。
これはただ覚えることが目的なのであって、それを理解することに結びつかないからです。
(つまり勉強法ではなくただの記憶法)
このように自分で好ましくないと感じていた勉強法に対して、
論文などデータに基づいて論理的に書かれていて納得感を得られるのが嬉しいです。
アクティブラーニングが重要
最も効果のある勉強方法は、アクティブラーニングである。
これが、この本での主題です。
アクティブラーニングとは、名前の通り、積極的に勉強することを示します。
POINT
本書は、このアクティブラーニングを
- 概念
- 概念を支える考え方
- 具体的な方法
- その解説
と落とし込んで解説されています。
実際にアクティブラーニングを取り入れるには何をすべきなのか?
ではアクティブラーニングとはどのように実践するのでしょうか。
- 想起
- 再言語化
本書では、この2つが重要であると結論を出しています。
想起とは、思い起こすことです。
冒頭の"復習は忘れる前にする"が望ましくない理由とも絡んでくる内容なのですが、
人が勉強したことを記憶するためには、思い出そうとすることが重要なのです。
つまり、一度忘れるまたは記憶が曖昧になった状態から、思い出そうとすることが記憶に残る良い勉強法なのです。
再言語化とは、自分の言葉で言い換えてみることです。
これは、記憶というより理解を深めるために重要なプロセスです。
意外と理解できたと思っていることでも理解できていないもので、この説明の中で”流暢性の罠"というワードが出てきます。
流暢性の罠とは、例えば問題を解いていてその解説をみた時に、スラスラと自分はわかっていたかのように感じることを指します。
この再言語化によって、この流暢性の罠を回避することができます。
つまり、わかっているようになっている気になってしまう現象を回避すべく、自分の言葉で言い換えて理解することが肝要なのです。
想起や再言語化の方法は?
具体的な方法の解説についてはぜひ本書を手に取って読んでみて欲しいのですが、
想起は、
- クイズ化
- 分散学習
- チャンク化
の3つの方法から解説があります。
中でもクイズ化は、単純にクイズ形式にして自分に問うといった単純なものではなく、
テキストの内容を1ページ読んでは閉じて、書いてあった内容を思い出すといった方法の良い点なども紹介されています。
再言語化は、
- 自己解説
- ティーチングテクニック
- イメージング
こちらも3つの方法で実践的に取り組める内容が紹介されています。
注意
この本の特徴として、新しいワードをたくさん目にすることになると思います。
嫌悪感を持つ必要はなく、一つ一つこれはどういう意味か?と自身で"再言語化"し、噛み砕きながら読むのがオススメです。
もちろん解説がわかりやすいので、つまづく心配は不要です。
勉強前後のテクニック
上記の勉強に直結する勉強法のみならず、
勉強前後に行うと学習効果を高めることまで解説されています。
勉強前のテクニック
- 自己超越目標を持つ
- 知っていることを書き出す
- 好奇心を刺激する
- 音楽を正しく使う
- 戦略的リソース利用法
- 自然の力で集中力を倍にする
- ピアプレッシャーでやる気を出す
自己超越目標を持つというのは、
要は、より大きい視点での目標を持つことです。この視点はかなり重要です。
勉強を目先の自己の利益のために行うと、逃げる理由がいくらでも思い浮かんでしまいます。
気持ちだけでも大義や他人のために頑張るのは、精神衛生的にも良いと感じました。
また、よくある勉強中に音楽を聞くべきか否か論争の結論も実証的なデータに基づいて答えが出ています。
ご想像の通り、勉強中には聞くべきではないのですが、その理由や音楽の正しい取り入れ方まで言及されています。
私も無音派でしたので、耳栓などにもかなりこだわっていました。
私が勉強中に使っていたグッズ等はこちらの記事で紹介していますので、
ぜひ興味を持っていただけたら見てみてください。
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勉強後のテクニック
- 報酬付きの昼寝
- 睡眠の効果を最大まで引き出す
- 運動で記憶を定着させる
- マインドフルネス瞑想
- クロノタイプに逆らわずに休む
特に長時間の勉強をする人は、昼寝は絶対に取り入れるべきです。
私自身色々勉強して頭がガチャついてきたら机に突っ伏して10分だけ寝るを繰り返していましたが、10分寝るだけでもかなり頭がクリアになります。
より効率の良い昼寝の方法も本書で紹介されていますのでぜひ取り入れてみてください。
効果的な学習習慣
他にも、勉強の効果を高める学習方法についても記載されています。
- ひとりごと学習
- 話しかけるつもり音読
- マルチモーダル学習
- ジェスチャー法
- 勉強中にも運動する
- 苦手意識を消す
- オーバーラーニング
ひとりごとや音読は英語学習のメソッドとしてよく取り上げられるイメージですが、どのような勉強でも効果があるようです。
図書館や自習室などではできませんが、家や帰り道など試してみるのも良いですね。
地頭の鍛え方
なんて言わせない作りになっています笑
地頭の鍛え方まで解説されています。
本当に手厚い。
地頭の鍛え方の大枠はこの2本。
- ワーキングメモリ
- マインドセット
ワーキングメモリとは、PCでいうメモリと同様で、処理能力のイメージです。
本書にも類似した比喩がなされていますが、"作業机の広さ"に近い概念です。
このワーキングメモリの鍛え方として、
- 運動
- テレビゲーム
- 楽器の演奏
- 筆記開示
- DNB
が紹介されています。ゲームなど意外なラインナップですよね。もちろんゲームの種類はある程度限定されます。
DNBというのは、パズルゲームみたいなものです。
こちらですね。本書を読んでからやっていますが、結構大変です笑
マインドセットとは、言うならば気の持ちようです。
マインドセットについても、
- マインドセットを解説するメディアに触れる
- 選択と戦略を褒める
- 「努力は報われないもの」と認める
- 失敗を学習のチャンスだと考える
- マインドセットをモニタリングする
といった流れで解説があります。
なお、マインドセットについては、以下のTEDが参考になります。
https://twitter.com/suteki_na_blog/status/1209656671758274560
『超効率勉強法』の感想
要約でわかる通り超手厚いです。こんなに記事に内容書いて大丈夫なのか?
と感じたかもしれませんが、これらはほとんど、目次レベルの記載なんです。
ぜひAmazonなどから目次が見れますのでみてみてください。
本書では記事の内容をさらにブレークダウンしわかりやすく、実践的に紹介されています。
私自身、2年近くかけて公認会計士試験に取り組んだ経験がありますが、もっと早く読みたかったというのが率直な感想です。
何か特定の分野の勉強をしていない方も、この本を読めば勉強がしたくなりますよ笑
試してみたくなるほど、様々な方法が紹介されています。
まだ未読の方はぜひ!一度読んだことがある方ももう一度読んでも発見がありそうです!
分散学習の章で解説されていた、ウォズニアックの復習周期に沿って私も複数回読み直そうと思います!
さて、この記事を読んで、『超効率勉強法』を読んだ気になり不要と考えたあなた。
序盤で解説した"流暢性の罠"に陥っているかもしれませんよ!
『超効率勉強法』感想記事のまとめ
本記事をざっくりとまとめていきます。
- 『超効率勉強法』は勉強法の本のなかでもトップクラスに濃縮された内容。
- 勉強法だけでなく、勉強前後のテクニックも紹介されている。
- 地頭の鍛え方までカバー
- 手厚い内容で目次を見るだけでも価値がある
- 読めば自然とモチベも上がる理想的な本
褒め倒す格好となってしまっていますが、本当にオススメしたい一冊です。私のようにある程度勉強経験がある人間でも新しい発見や気づきが得られます。
勉強に取り組んでいる方に特におすすめです。
少しでも参考になれば幸いです。