簿記が募集要項となっている求人等で求められるのは日商簿記2級までが一般的です。
簿記1級って2級とどれくらい違うのか?簿記1級って何に使えるの?
そんなあなたの疑問にお答えすべく、日商簿記1級まで取得した私が簡潔に解説します。
タップで開ける目次
そもそも日商簿記1級はどんな人が取っているのか
簿記2級まではよく聞くけれどと、とあなたは思っているかと思います。
実際に、受験者のボリュームは、
- 日商簿記3級:8万人程度
- 日商簿記2級:5万人程度
- 日商簿記1級:6千人程度
であり、加えて1級の合格率は10%前後であることから、
実際の保有者はもっと少ないのです。
MEMO
それでも意外と1級受けている人が多いですよね。
これには訳がありまして、公認会計士試験及び税理士試験の受験者が、モチベーション維持の為や計算力向上の為に受験しています。
それでも合格率が10%しかないなんて恐ろしくもありますね。
日商簿記2級と日商簿記1級の違い
- 簿記2級→商業簿記+工業簿記
- 簿記1級→上記+会計学+原価計算
簿記2級では2科目でしたが、1級では2つ追加され4科目となります。
商業簿記と会計学、工業簿記と原価計算はそれぞれ密接に関係しているものであり、
完全に新しい概念を学ぶという訳ではありませんのでその点は心配する必要はありません。
注意点
会計学では会計基準等の理論を勉強する必要があり、
条文等に耐性がない方は少し苦労されるかと思います。
加えて2級よりもより詳細な論点を各科目勉強する必要があるので、2級までをしっかりと理解していないと1級は厳しいです。
日商簿記1級の難易度・必要勉強時間
日商簿記検定1級の難易度はかなり高いです。簿記2級の比ではありません。
しかし、難しいと言っても量が膨大であることが原因です。
ひらめきが必要な類ではありませんので、誰でも取ること自体は可能です。
(時間をかけ、得意な問題が多い回に当たるまで受け続ければいいのです。)
必要勉強時間は簿記2級が150時間程度でしたが、簿記1級は1000時間ぐらいはかかると考えましょう。
日商簿記1級を実際に取るとどうなるの?
日商簿記1級を勉強すると、簿記2級では学んでいない、会計処理の背景を知ることができますので、
会計基準に明記されていない新たな取引(近年でわかりやすいところで言いますと仮想通貨関連の会計処理等でしょうか)について、
理論的に現状の会計基準と整合させて考えることで、会計処理を考えることができます。
論理的に会計を考えられるようになるので、会計基準が整備されていないような新しい分野の企業であっても、会計に落とし込むことができ重宝されます。
また経理の作業感が減り、より経営等の理解が深まるのは間違いありません。それに伴い資格手当等の昇給が見込まれるケースもあります。
私の感想
私自身簿記1級を取って思ったことは、やや趣味の領域だなと感じてしまったことです。
実務で触れない枝葉の論点も多々勉強することになります。
必要に駆られていないのであれば、簿記2級までは資格試験を通して勉強し、
それ以上の部分についてはかいつまんで勉強していくのがベターではないかと思います。
それでも取りたいあなたへ!日商簿記1級のオススメの勉強方法
簿記2、3級であればここでオススメのテキストを紹介し、オススメの勉強方法を記載していましたが、
簿記1級を独学で勉強するのはかなり効率が悪いです。
なぜならば範囲が膨大であることや、市販のテキストがあまり充実していないことによります。
その為TACや大原といった資格学校で講座を受講することを勧めます。
それでも独学で勉強したい方へ
オススメのテキストを紹介いたします。
簿記2級3級でもオススメさせていただいている、TAC出版より出ている合格テキストシリーズです。
独学で勉強するのであれば解説が詳しいこちらのテキストが有用です。
尚、商業簿記・会計学及び、工業簿記・原価計算の1を以下記載しておりますが各3分冊となっております。
本試験情報
1級の申し込みは以下からアクセスできます。
なお、日商簿記は2、6、11月に試験が行われますが、1級のみ2月試験は無いので注意してください。
簿記1級についてのまとめ
本記事をざっくりとまとめていきます。
- 簿記1級は受験母集団が猛者
- 簿記1級は範囲が膨大
- 会計の背景理論の理解ができる
- しかし瑣末な論点も学ぶ必要有
- 予備校を利用することを勧める
- 2月試験は無い
日商簿記1級を取ろうと考える場合、まず本屋で上記のテキストを眺めてみることをオススメします。
少しでも参考になれば幸いです。